掲載日：2022.7.26

「列車に乗ること」そのものが目的になる、新たな旅のスタイルを提案してくれる観光列車。列車から眺めるのどかな景色、沿線の食材を使った料理、あたたかなもてなしなど魅力満載です。九州では観光列車が多数運行しています。今回はその中から厳選して7つの観光列車について、グルメや特徴などをたっぷりご紹介していきます！列車が好きな方はもちろん、旅行が好きな方やいつもとはちょっと違った特別な時間を過ごしたいという方にもおすすめです。

【福岡】THE RAIL KITCHEN CHIKUGO (ザ レール キッチン チクゴ)／西日本鉄道

西日本鉄道が運行する、既存の車両を改造した観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」。車両はキッチンクロスをモチーフとした赤と白の格子柄のデザインとなっていて、オシャレで可愛い！
西鉄福岡（天神）駅を起点に、太宰府行きのカフェ、大牟田行きのランチ、花畑から折り返し運転となるディナーなど、多彩なコースが用意されています。その名の通り、"走るキッチン"と称されるほど、こだわりの料理が提供されています。

なんと、列車内にピザ窯を設置！窓から見える筑後平野の小麦粉を使って窯で焼くアツアツのピザが評判で、ランチとディナーのコースで味わえます。旬の野菜がたっぷりのったモチモチ食感のピザは絶品です！
写真は、アミューズに始まり、野菜、肉料理のプレート、ピザ、プティフル（お菓子）で締める夏のランチの一例。ピザは長野・軽井沢「エンボカ」の今井正氏、ほかの料理は料理家・渡辺康啓氏が監修しています。

特にオススメしたいのが、6月～8 月まで楽しめる「地域を味わう季節限定コース」！スパイスをふんだんに使った夏限定メニューで、トマトやオクラのピザ、博多和牛のクスクスなど地元の食材もたっぷり。インド風煮込み料理・サブジや揚げ物・パコラなど異国情緒を楽しめるプレートも味わえますよ。

格子窓から田畑や筑後川を眺められます。「毎日使う路線だけど、この窓から見るといつもとは違う風景に見えてくるから不思議」という乗客もいるそうです。
また、かつて使われていた本物の切符ハサミを使って、切符切り体験ができます。ほかにも到着駅周辺の情報を集めた、乗務員による手作りのガイドブックが車内で自由に閲覧できるなど、旅を盛り上げる工夫が満載です。

大川産のテーブルやイス、天井には八女の竹を使った竹編み生地、壁には城島瓦など、地域の伝統工芸品が車内に配されています。料理や車窓からの景色だけでなく、内装からも沿線地域の魅力が感じられる列車になっています！

【福岡】ことこと列車／平成筑豊鉄道

“世界一ゆっくり走る列車になりたい”がコンセプトの観光列車。時速15～40kmでゆっくり走行するそうです。筑豊のシンボル福智山（写真）や香春岳（かわらだけ）、今川などが見渡せます。かつて石炭を運んでいた線路沿いに広がる筑豊の緑豊かな田園風景にも癒されます。
この列車の目玉は、アジアのベストレストラン50に選出された西中洲「La Maison de la Nature Goh」のシェフ・福山剛氏が監修する料理です！季節の食材を使った美食と風景が忘れられない旅を約束してくれます。

田川ホルモン鍋コロッケや「ことこと列車」の焼印が入ったサンドイッチなど、沿線にある9つの市町村の食材を使った弁当箱風のアミューズからコースが始まります。
アツアツで提供される行橋のゆく鴨米を使った焼きカレーや豊前海の恵みを凝縮した、香り高いブイヤベースも好評です。

「Goh」オープン時からのスペシャリテが登場！沿線で採れた野菜のムースは濃厚な甘みがたまりません。
地元産のブルーベリーを使ったソースでいただく和牛のローストも絶品です。器には田川郡福智町の焼物・上野焼が使用されています。
締めは車窓から見える「林龍平酒造場」の日本酒を使ったパルフェ。新緑の里山など、季節の風景を表現されているそうです。

車内では、日本酒や、巨峰を使ったサイダーなど、地元でつくられたドリンクも楽しめます。
高級感のある列車のデザインは水戸岡鋭治氏によるものです。大川組子など、福岡の工芸品も配されています。
特に印象的だったのが、ドイツ製のガラスを天井に組み込んだ、ステンドグラスの美しさ！1号車から2号車まで客室を華やかに彩っていました。
また平成筑豊鉄道は、観光列車「ことこと列車」以外にも楽しい試みが満載。一般車両を10 名以上の団体で貸し切りした場合、車両基地内で運転体験ができるのだとか！家族や学校、職場などの集まりで予約すると、思い出深い体験ができそうです。

【熊本・鹿児島】おれんじ食堂／肥薩おれんじ鉄道

熊本と鹿児島をつなぎ、多彩な柑橘類の木々が沿線を彩る「肥薩おれんじ鉄道」の観光列車、"おれんじ食堂"。モーニング、ランチ、そしてサンセットに合わせたディナーコースがあり、刻一刻と表情を変える海岸沿いの景色を堪能できるのが特徴です。
静かな入江が続く熊本側の不知火海（しらぬいかい）、波が打ちつける鹿児島側の東シナ海を眺められます。

オレンジに色づいていく夕日の美しさは格別！
コースによっては途中下車も可能です。薩摩高城駅では、ホームから降りて砂浜を散策できます。

車内はホテルのロビーやカフェレストランをイメージ。テーブル席や個室風のソファ席、窓を正面にしたカウンター席があります。
写真は、地元の飲食店が腕を振るったウェルカムスイーツ、軽食、メイン料理を味わえるサンセットコースの一例です。

【長崎】しまてつカフェトレイン／島原鉄道

しまてつカフェトレインは、島原半島北部のノスタルジックな風景と地元グルメを満喫できる観光列車。眺望を楽しみつつ、沿線の飲食店が手がける、ご当地感たっぷりのスイーツやランチを満喫できます。
2022年秋に開業する西九州新幹線「かもめ」をイメージした紅白のラッピングに、2021年リニューアル！

ランチコースは、ハンバーグ丼やカレーなどのランチ1種とスイーツ2種を味わえます。
スイーツコースは、雲仙産ジャガイモのプリンやイチゴの葛氷、半熟生カステラなどのスイーツ3種と軽食が付きます。

“トレインアテンダント”が島原への旅を盛り上げてくれます。
旅のハイライトは、“日本一海に近い駅”といわれる大三東（おおみさき）駅。満潮時はホームの壁面まで海面が近づき、有明海の大パノラマを楽しめるスポットです！ここでは45分停車するので、海を見渡しながら料理を味わったり、黄色いハンカチに願いを書いてホームに吊るしたり、ゆったりと過ごせます。

【福岡・大分】或る列車（あるれっしゃ）／JR九州

観光列車「或る列車」が、2021年11月からルートを博多駅〜由布院駅に設定し、コース料理を楽しめる内容にパワーアップ！黄金色の豪華車両で味わえる料理は、東京・南青山のレストラン「NARISAWA」のシェフ・成澤由浩氏が監修しています。
写真は久大本線を優雅に走る「或る列車」。列車のデザインは水戸岡鋭治氏が手がけています。

沿線のものを中心に九州の食材をふんだんに使用した料理を楽しめます。
ウォールナットの組子に囲まれた個室が並ぶ2号車。高級感のある内装がとても素敵です。

【熊本】トロッコ列車「ゆうすげ号」／南阿蘇鉄道

阿蘇山の南側、カルデラの中を走るトロッコ列車。天気がいい日は、窓ガラスがないオープンエアの客車で、風を感じながら雄大な自然を満喫できます。（雨天時は窓を閉めて運行します。）15名以上の予約で貸切運行も可能です。
根子岳（ねこだけ）など、阿蘇の山々を背景に小さな機関車がトロッコを牽引。７月頃、沿線に黄色の花を咲かせるユウスゲが名前の由来となっているそうです。

河童伝説が残る「明神池」の近くを通ったり、カワセミが飛ぶ川を渡るなど、見どころ満載！車掌さんのガイドに耳を傾けながら列車の旅を楽しみましょう。「熊本地震」により立野駅～中松駅は運休中で、2023年夏の全線復旧を目指しています。

【九州】36ぷらす3／JR九州

2020年に運行が始まったJR九州の観光列車「36ぷらす3」。コンセプトは「九州のすべてが、ぎゅーっと詰まった“走る九州”」。九州7県をめぐる、5つのルートを運行しています。
木曜日ルート「赤の路」は博多駅から鹿児島中央駅まで、金曜日ルート「黒の路」は鹿児島中央駅から宮崎駅までなど、曜日ごとにルートが変わり、九州をリレーするように繋いでいきます。
また、ルートごとに沿線の風景や歴史、食などの土地の魅力を、赤・黒・緑・青・金と色をテーマに切り取っていて、乗客に新しい九州の旅を提案してくれます。 写真提供：J R九州（車内写真は２号車の個室）

「ふたつ星4047」がデビュー！

2022年9月に開業する西九州新幹線（武雄温泉駅～長崎駅）に合わせて新たなD&S列車「ふたつ星4047」がデビューします！長崎本線と大村線の2つの海沿いを走るルートを用意しているそうです。
パールメタリックに輝く車両がかっこいい！車内にラウンジカーを設けています。©Don Design Associates

こんなアクティビティも♪レールの上をサイクリング！

「令和2年7月豪雨」により、人吉温泉駅～湯前駅を結ぶ「くま川鉄道」は現在部分運行中。運休中の区間を活用し、線路上を専用のマウンテンバイクで走行する“今しかできない”アクティビティを開催しています！廃線ではなく現役のレール上を走れるのは全国的にも珍しい取り組みです。
なんといっても緑豊かなルートを走るサイクリングは気分爽快です。電動アシスト付きのため運転もラクラク！
線路の継ぎ目を通る度に、列車のようにガタンゴトンと音がするのも面白いです。

まとめ

今回は、九州を運行するおすすめの観光列車についてご紹介してきましたがいかがでしたか？観光列車は、地域の食材を生かした料理や伝統工芸品を使った内装、趣向を凝らしたさまざまな体験や演出などを楽しむことができます。九州の魅力を再発見できる特別な旅になること間違いなしです！ぜひ観光列車の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。

• ご紹介した店舗や、その他の情報は2022年6月6日現在の内容となり、それ以降は変更になる場合がございます。予めご了承ください。
• VISA・JCB OK！のマークがある列車は、オンラインでのチケット購入時にVisaカード、JCBカードがご利用いただけます。（トロッコ列車「ゆうすげ号」の決済は現地にて）
• 列車のチケットの予約・購入の詳細は各列車のHPでご確認ください。

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